特定非営利活動法人
国際生命科学研究機構

特定非営利活動法人 国際生命科学研究機構(ILSI Japan)は1981年に設立され、ILSIの一員として世界的な活動の一翼を担うとともに、日本独自の問題にも積極的に取り組んでいます。

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Project IDEA:プロジェクト アイデア
  Iron Deficiency Elimination Action
 
鉄欠乏性貧血症の撲滅運動
概要と目的
多様な食物の摂取が困難な途上国では、ビタミン、ミネラル類(微量栄養素)の摂取不足に陥る可能性が高くなります。鉄分は、健康に生活するために必要不可欠な栄養素ですが、欠乏すると特に子供の発育や知能の発達を妨げ、母子の健康にも深刻な悪影響を及ぼし、死亡率増加の原因ともなります。更に、この欠乏症は、成人後も労働力の低下や人材の育成を妨げるなど、社会全体の生産性の低下を招き、貧困を助長させます。食事からの鉄分摂取不足が原因(鉄欠乏)で引き起こされる貧血症は、特に対策が遅れており、今なお16億人以上の心身の健全な発達を妨げています (1)

貧血対策には、多様な食物の栽培・摂取、栄養教育、食品への鉄強化、寄生虫対策、及び鉄剤の配布などがあります。中でも食品への鉄強化は、先進国において30年以上の実績があります。また、中長期の改善・予防に繋がり、費用対効果の高いアプローチです (2)。鉄分を強化する食品は、市販されていて、多くの人々が消費し、かつ消費頻度の高い主食や調味料が適しています。また、食品に添加する鉄分は、体内に吸収し易く、味、色の変化の少ないものである必要があります。

ILSI(イルシー) では、1997年からProject IDEAの活動を開始しました。
Project IDEAでは、それぞれの地域の食生活パターンに合わせて、市販されている主食や調味料に有効な鉄分を添加し、毎日の食事を通して欠乏栄養素を補給することにより、鉄欠乏性貧血症を予防する活動を続けています。

Project IDEAのプロセスは、次の通りです。
1) 文献レビュー、ニーズ確認、適切な現地パートナーの選定を含む事前調査
2) 鉄を強化した食品を一定期間保存し安定性を確認する保存・安定性試験、
  鉄が添加されたことにより味、色の変化が無いか確認する官能検査
3) 特定の対象者に鉄強化食品を一定期間摂取してもらい貧血改善度を
  検証する臨床試験
4) 地域に合わせた条件で限定販売し、鉄強化米や貧血に関る行動変容度、
  貧血改善度を評価する実証試験
5) 全国展開

このような取り組みには、1)大学や研究機関による基礎実験や臨床試験によるプログラムの科学的な検証、2)行政機関によるプログラムの執行やガイドラインの設定、3)産業界による新素材・技術開発、さらには 4)プログラムのビジネスモデル化という産官学の協働が重要です。ILSI Japan CHPは、国際的なNGOであること、科学的なプログラムを遂行できるNGOとして、研究開発から現地での実践活動に至るまでをコーディネートしています。

これまでに、中国、ベトナム、フィリピン、カンボジア及び、インドにて、Project IDEAを進めています。
 
参照        
1
WHO, CDC 2008, Worldwide prevalence of anemia 1993-2005 WHO Global Database on anemia
2
WHO, FAO 2006, Guidelines on food fortification with micronutrients
       
 


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(2012年6月)

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